「大奥妖斬剣」その5

 「広いものだな……」
 香苗に付いて歩きながら伊織は感嘆の声を漏らす。一つ一つが裕福な町人の家ぐらいの大きさの部屋が数百連なり、それらの部屋に居る女性達のための生活設備が整えられている。その間には立派な庭園があり、ちょっとした舟遊びなら出来そうな池があり、玉砂利を敷き詰めた散歩道がくねりながら木々の間を縫っている。小さな街、というよりは、女だけの都市国家のようであった。大奥だけで、広大な城の敷地の半分近くを占めている。
「ええ。大奥の方々には銘家の出が多いですから」
 先に立って歩きながら香苗は言う。
「狭苦しい所では我慢できぬという事か……ん?」
「何か?」
 いきなり立ち止まった伊織に気付いた香苗が尋ねる。
「あの森の中には何が?」
 伊織は右手の方にこんもりと盛り上がった木々の連なりを指差していた。
「確か、古い石造りの鳥居が有ったと思いますが……」
「行ってみてよろしいか?」
「ええ。どうぞ」
 そこは自然のままの木々が残されている一角だった。そのほぼ中央部にぽっかりと空いた空間があり、そこに石造りの鳥居のようなものが立っていた。
「……これはかなり古い物だな。数百年、いや、千年以上前の物か……」
 伊織はその鳥居の周囲を回りながらつぶやく。
「あやかしと何か関係が?」
「いや、これは鬼門封じのような物だろう」
「え? しかし、この方角は鬼門では有りませんが……」
「昔……これが造られた遥か太古は鬼門だったのだろうな」
 香苗にはちょっと判りかねる事をつぶやいて、伊織はそこから立ち去ろうとする。
「香苗殿。もし、許可が出るのならこれは壊した方が良い。現在の鬼門の方位にも鬼門封じの祠か何かがあるのだろうが、その効果がこれに相殺されて弱まっている」
「えっ! ……伊織殿は風水も使われるのですか?」
「いや、風水というほどの物ではないが……実際、私も良く知らぬのだ。私の学んだ武神流という武術体系にある知識なのだが、何分、表門中伝までしか学んでおらぬのでな」
伊織はもと来た道を戻りながら言う。
「途中で御師様がお亡くなりになられた?」
「いや、『これ以上を学べる器に有らず』と言われた。手厳しいな」
 伊織はそう言って苦笑して見せる。
 香苗は呆気に取られていた。底が見えぬ実力の持ち主である伊織でさえ『器で無い』と言ってのけられるほどの技術体系とは……。一体その全てを学ぶ資格のある人物とは、どのような資質の持ち主なのだろうか?
「さて、ここの処分は後程相談する事にして。目下の問題を片付けるとしましょう。……あやかしに襲われた女性達は何処に居られる?」
 遺跡の検分を終え、伊織は振り向いた。
「はい。医療殿の奥にある座敷牢に……」
 そこで今でも淫欲に苛まれているであろう副官の志乃、そして千枝のことを思いやって沈痛な表情を浮かべて香苗は告げる。
「淫欲の権化と化しているのだったな?」
「ええ……あれほどあさましいものとは……あのような生き恥をさらさねばならぬとは」
 香苗はそう言って唇を噛む。自分の部下が手も足も出ずに犯されたのだ。あの、颯爽たる物腰で部下の信頼も厚かった志乃が、淫欲の権化と化して悶え狂う様は正視に堪えなかった。せめて介錯をと、申し出てみたが、老中にきつく止められた。
 もし、志乃を救えるなら……。香苗は伊織にすがるような目を向けていた。
 伊織という人物の持っているなんとも表現しがたい頼もしさのような物が、絶望しかかっていた香苗の気持ちを奮い立たせていた。
「会って見たいのだが」
 伊織の言葉に香苗は頷いていた。

「んあぁぁぁ……おねがいぃ……果てさせてぇ……誰でもいい、わたしをめちゃめちゃに犯してぇ!」
 うわ言のように言いながら、志乃は暗い座敷牢の中で拘束された身体をくねらせていた。座敷牢の四方は護符を貼った黒い布で覆われて目隠しされている。
 人の姿を見ると、志乃はひときわ狂ったように愛撫をねだるので、その用心である。
 精悍な少女剣士の片鱗はそこには無く、ただ、身を焼き融かしそうな淫欲に狂い泣く一匹の牝と化していた。
 腹の奥から湧き上がる堪らない疼きを発散する場を求めて身をよじるが、手足を拘束され、阿片の混じった香の煙で半ば夢遊状態にある身体は思ったように動かない。それがかえって切なさをつのらせ、身体中を疼かせる。
 薄物一枚だけを羽織った身体にじっとりと汗を浮かべ、カクカクと空腰を使って肉の疼きを少しでも満たそうとしていた。
「ふわぁぁぁぁ! お願いぃ……犯してぇ、めちゃめちゃにしてぇ……」
 ただひたすら肉欲が満たされる事だけを願って悶え狂う。
 淫欲の虜になった志乃の心の中では、触手に犯されたおぞましくも甘美な夜の光景が何度も繰り返している。

「くっ! ……くぁぁぁ……」
 十数本の赤い触手に秘裂を蹂躙され、志乃は拘束されたまま、許容量を超える快感にのた打ち回った。
 まだ挿入されていない……いや、挿入してくれない。赤いミミズを思わせる触手は、少女の秘裂を割り開き、ぷっくりと充血した敏感な肉ひだを捲れ返らせるようにして擦り上げ、揉みこねながら愛汁と粘液を混ぜ合わせて白く泡立たせていく。
 クチュ、クチュ、クチュ、クチュ……粘液音の合間に、既に喘ぎすぎて声の嗄れた志乃のかすれた嬌声が混じる。触手の淫らな責めを受けているのは秘裂だけではなかった。
 乳首に巻き付いて脈動する触手、固くしこったその先端をつつきまわす触手。乳房をぐるぐる巻きにして揉み搾る触手、脇の下、うなじ、内腿、脇腹などの敏感な部分は全て触手による責めを受けていた。
 触手は舌のようにチロチロと舐め、羽毛のようにさわさわとくすぐり、濡れた指のようになって執拗に少女の柔肌を揉み擦る。
 快楽に蕩けた身体には、くすぐったさはすぐさま快感に変換されてしまう。
 尿道に挿入された触手は膀胱にまで達し、膀胱の内壁を突付き回して偽りの尿意を志乃に与えていた。耐え切れずに漏らそうとしても、とっくに空になった膀胱からは何も漏れ出してこない。それなのに堪らない尿意だけが延々と続くのである。
「うぁぁぁ……かはぁ……ひぁぁ……もっ、漏れ……漏れるっ! はぁぁぁんっ…やぁぁ…出ないのぉ……ああんっ! また漏れちゃうぅぅ!」
 凄まじい尿意に翻弄され、それに屈しても迸らせる事が出来ない地獄の快楽に、志乃は声を裏返らせて泣き叫ぶ。
 そのうちに、尿道に挿入されていた触手がピストン運動を始めた。先ほどの焦らし責めから一転して延々と排尿し続けているような感覚が志乃を襲う。
「ふぁぁぁ!出てるぅ……出てるぅ……やはぁぁ! 止まらないぃぃ!」
 チュ、チュ、チュ、チュ……と、小さな粘液音を立てながら、本来なら出す事しか知らぬ尿道を赤い触手が犯し続ける。短い尿道を経て、膀胱内を好き放題に突付き回し、堪らない疼きと、延々と続く排尿感を与え続ける。
 本来なら尿道を引き締め、排尿を制御すべき筋肉が、今は陵辱者の触手を歓迎するかのように締め付けている。その感触が排泄中枢を刺激し、痺れるような尿意が際限なく高まって拘束された少女剣士の肢体を悶え泣かせた。
 強制排泄の羞恥を与え続ける事で、あやかしは志乃の抵抗の意思を完全に奪っていた。 ジュポン! と、湿った音を立ててあやかしは千枝の膣に挿入していた舌を引き抜く。赤黒い舌と膣口の間に白濁した粘液が妖しくきらめく糸を引いていた。
 千枝は完全に放心し、ヒクヒクと震えているだけだった。無垢の肢体はおろか魂まで汚し抜かれしており、時折、喉の奥から泣き声とも、喘ぎともつかぬ細い声を漏らす。
 千枝という生贄を貪り尽くしたあやかしは、黒いうろこに覆われたぬめ光る胴をうねらせて志乃のもとへと這い寄り始めた。
 薄暗い室内で、熱した鉄のように爛々と光るあやかしの双眸が這い寄ってくる。
 終わりの無い排尿感にのた打ち回る志乃の傍らに這い寄ったあやかしは、長い舌をその股間へと伸ばしていた。
 細い触手によって下帯をずらされ、剥き出しになった秘苑に双股に分かれた先端部が這い込んでくる。
「ふわぁぁ……あんっ!あひぃぃ!」
 あやかしの舌は秘裂の奥にひっそりと息づいていた後ろのすぼまりを舐め始めた。
 志乃は女同士の愛を交わす時も、ここを愛される事を嫌がった。今まで守り通してきた不浄の門を、あやかしの舌がねっとりと這い、むず痒い疼きを際限なく送り込んでくる。
 くちゅ……ちゃぷっ……ぺちゃっ……いやらしい音を立てて冷たい粘液を塗りこめながら、舌は執拗にそこを這い回り、志乃の身体を羞恥と妖しい快感でわななかせる。
「ああああっ! だめぇ! そこは止めてぇぇ!」
 叫んでみても無駄な事、あやかしはきゅっとすぼまった小じわの一本一本をじっくりと掘り返すように尖った舌先を走らせ、すぼまりの中心を突付き回し、やがてぬるりと中心に挿入していた。
「ひぃぃぃぃっ!」
 直腸内に侵入してきた異物のおぞましさに志乃は引きつった声を上げる。
 二股に分かれた先端で内壁をぬるぬると舐め回しながら、舌は次第に奥へと侵入してくる。前後の排泄口を犯されるというこれ以上無い辱めを受けながらも、志乃は舌を噛む事すら出来なかった。
 あやかしの妖術で、身体の自由を奪われているのである。
 直腸内を存分に舐め回し、志乃の身体をひとしきりおののかせてから、さらに舌は奥を目指していた。やがて舌先が直腸と結腸の境目を舐め始める。
「んひいぃぃぃっ!」
 ひときわ激しい震えが志乃の身体を走った。明らかな排泄の欲求が沸き起こって少女の身体と心を責め立てていた。
「ああああっ! 嫌あぁっ! も、もう、堪忍して……後生だからそこはぁ……」
 最大の恥辱の予感に震えながら志乃は声を限りに絶叫していた。最後は声が嗄れてゼエゼエという息の音しかしない。
 志乃の腸内で、舌の先端がカッ!と開いた。その先端はヒルの口を思わせるいやらしい吸盤状になっている。
 その吸盤で結腸部に吸い付いた舌は、強烈に吸引し始めた。
「かはぁぁぁぁ……」
 腹の奥を吸われる異様な感覚に志乃は嗄れた喉から悲痛な声を絞り出す。
 クネクネと身悶えする少女の下腹が、緊張と弛緩を繰り返し、全身に冷や汗が浮かび上がる。目元からは羞恥と屈辱の涙が止めどなく溢れた。
 腸内に溜まっていた全てのものがジュルジュルと音を立てて舌に吸い込まれていた。引きつるような感触とともに腹の奥がどんどん軽くなっていく、堪らなく恥ずかしいが、どこか爽快感を伴った異様な感触に、志乃はなす術も無く耐えている。
 数分後、腸内の全てを吸い取り、恥辱に満ちた吸引は終わった。
「あ……あ……ああぁ……」
 魂の奥まで陵辱されたような気分で、志乃は立ったまま喘いでいる。
(千枝様もこれをされたのだろうか……こんな……恥ずかしいことを)
 消え去りそうな意識の奥で、志乃はそう思う。
 腸内に挿入された舌が動き始めた。物凄く奥まで擦りたてられているのがはっきりと判る。奥へ、さらに奥へ、どんどん伸びる舌がうねりながら腸を逆流してくる。
 腸壁がプルプルと掻き鳴らされ、かすかな吐き気を伴う異様な感触を沸き起こらせた。
「うあぁぁぁ……嫌ぁぁぁ……」
 弱々しく身をよじって逃れようとするが、拘束された身体は自由にはならなかった。
 やがて舌先は十二指腸を抜け、胃の幽門に到達する。そこを突き上げられ、志乃は嘔吐の発作に囚われる。
「うぐっ! うっ、うえっ! ……うぁ!」
 再び吸引が始まっていた。胃の内容物までが、吸盤状の舌に吸い込まれていく。
 急激に空腹感が襲ってきた。
(こんな……こんな辱めは嫌だ……死にたい……誰か、わたしを殺してぇ……)
 涙をたっぷりとたたえ、空ろに開いた眼でぼんやりと床板を眺めながら、志乃は言葉に出来ない思いを発していた。
 胃を空にした舌は、幽門をこじ開け、胃の中へと侵入していく。再びこみ上げてくる嘔吐感に、志乃は身を震わせる。
 そんな少女の苦悶にもお構いなしに、舌先は胃を抜け、食道を一気に駆け上がってくる。
「嫌はぁ! げへえぇ!」
 少女にあるまじき声を上げた志乃の口からあやかしの舌が飛び出していた。異様に生臭い唾液の味が口腔内に広がる。美少女剣士の身体は、股間から口まで、あやかしの舌で貫かれた形になって震えている。
 ズルズルと舌が動き始めた。消化管の内側を余す所無く擦り上げられる。肛門の肉襞をまくりかえらせ、わななく喉を擦り立て、苦悶に震える舌に絡みつく。
 無限に続く嘔吐と排泄……志乃は失神すら許されずに責め立てられていた。
 どのくらいの間、それが続いたのか判らぬうちに、志乃の秘裂に冷たく、太い物が挿入されてくる。それはあやかしの胴の半ばから異形の姿をそそり勃たせていた。
 赤黒い表面は無数の突起に覆われており、先端部には毒花の蕾を思わせる切れ込みがある。それが志乃の膣口をグリグリとこじ開けて胎内を蹂躙していく。
 指より太い物の挿入を許した事の無い少女の膣内を、禍々しい形状のあやかしの性器が貫いていた。尻から口を貫かれたまま、志乃は声も無く痙攣する。
 ずちゅ、ぐちゅ、くちゅっ……と、粘液音を立てながらあやかしの性器が動き始め、志乃の眼の奥に、極彩色の火花が散る。
 無数の突起に覆われたあやかしの性器は、志乃の未通の膣道をゴリゴリと容赦無く擦り上げ、強制的に開花させていった。
(ああ……ああ……これが本当に犯されるという事……これで、完全に……)
 志乃は完全な敗北を悟っていた。
 尿道にはいまだに赤いミミズを思わせる触手が出入りしており、殆ど全ての穴を犯される志乃の矜持は、蝋のごとく溶け落ちていった。
 あやかしの剛直はそれ自体が前後に動き、少女の胎内を思う存分かき回し、蹂躙する。そのうちに、今までの絶頂とは明らかに違う、重く、激しいものが志乃に迫って来た。
(あっ! 嫌ぁぁ……来る……来ちゃう……あやかしに果てさせられる……精を流し込まれちゃう……あああっ、来ちゃうぅぅっ!)
 絶対的な屈服の予感が志乃を激しくわななかせる。少女剣士の胎内を突き上げる性器に捻りが加えられ始めた。
 繊細な粘膜を巻き込むようにしながら、右に、左に、凶暴な形状のあやかしの性器が少女の胎内をえぐり回す。
「!!!!」
 声も出せずにのけぞった志乃の身体が激しく痙攣し、望まぬ絶頂を迎えていた。
 志乃が果てている最中でも、あやかしの責めは止まず、いっそう激しく柔らかな肉の内部を蹂躙し続ける。
 絶頂に更なる絶頂が重なり、大波となって志乃の意識を吹き飛ばす。
 幾度かの絶頂を志乃に与えた性器がぶるぶると震え始めた。
 その振動で更なる高みに放り上げられた志乃の胎内で、あやかしの精が放たれていた。 異様な冷たさを持ったどろどろしたものが志乃の子宮に流れ込み、わだかまって行く。
 同時に、志乃の尿道を犯していたミミズ状の触手がぷつりと千切れ、くねりながら膀胱内に入り込んでゆく。
 たっぷりと精を放ち終えた性器をズルリと志乃の胎内から引き抜くと同時に、あやかしは舌をも引き抜いていた。
 ズルズルと舌が抜けてゆく、本来なら苦痛しか感じられない感覚が、今の志乃には無上の快楽であった。
(きもち……いい。もっとぉ……もっと気持ちいいことをしてぇ……犯してえぇ……)
 胎内に放たれたあやかしの精がゆっくりと全身に染み渡り、志乃を限りなく淫らな淫獣に変えていった。

「こちらです……」
 硬い表情でそう言った香苗は、伊織とともに座敷牢のある一角へと向かっていた。
「まずは、孔雀衆の志乃殿とかいう方に会って見よう」
 伊織は強い光を双眸にたたえて歩きながら言う。
「……志乃は、あの子はもう元には戻らぬのでしょうか?」
 香苗はすがるような視線を伊織に向けた。
「さて、それは会って見なければ何とも……御典医殿は何と?」
「……あやかしの精をその胎内に受けたものは、精を放ったあやかしが死ぬまで元には戻らぬ……と」
 そう答えた香苗はかすかに涙ぐんでうつむいた。
「無責任な話だな……さすがに完全には元には戻せぬが、何とかしてみよう」
 伊織の口調の力強さと頼もしさに、香苗は胸を熱くする。
「お願いいたします。志乃は、私の妹のような者ですから……」
 伊織にすがるようにして香苗は哀願した。そんな彼女に頷いて見せ、女武芸者は足早に廊下を歩んでゆく。
 志乃が拘束されている座敷牢に近付いた伊織は、濃密な淫臭を嗅いでいた。絶え間なく漏れ滴り、醸熟された女蜜の匂いが、空気そのものに溶け込んでいるかのようである。
 座敷牢の周辺がとめどなく吹き零れる愛汁と、甘い香りの汗が入り混じった、甘酸っぱい匂いで満たされている。
 そして、その中央に淫欲の化身と化した少女剣士の姿があった。
「うぁ……あああ……私を犯してぇ……死ぬまで犯してよぉ……」
 伊織の姿を見つけた志乃が、うわ言のようにつぶやく。
「……不憫な……牢の鍵を開けていただけまいか? わが技能の全てをかけて彼女を助ける!」
 力強い口調で伊織は牢番に告げていた。


 続く

大奥妖斬剣04                       大奥妖斬剣06




 
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