「大奥妖斬剣」その3


  伊織は城内の一室に通されて兄が来るのを待っていた。
(……妙に城内が殺気立っている。これはかなりの大事だな……)
 そう思いながらも伊織は静かに座っている。
 やがて遠くから足早に廊下を歩んでくる足音が聞こえてきた。
(この足運び、間違いなく兄上のものだな、少し太られたか?)
 常人では捉えきれぬ細やかな情報を、伊織は聴き取っている。彼女は数年の山ごもりの間にとある人物に師事し、勘当された当初とは比べ物にならぬほどの剣の使い手になっていた。元々、上総月家は剣の名門として知られており、そこで開花した天賦の才に更なる研鑚がかけられた結果、彼女は当代随一の剣豪になっている。
 天下に名の知れた男性の剣客と立ち合っても引けは取らぬ自信があった。
 以前の対面でそれを見抜いた兄が、彼女の力を利用すべく呼びつけたのであろう。
 一分程して部屋の外から兄の声がかけられた。
「伊織、入るぞ!」
「……どうぞ」
(……おや、随分疲れておられる。あの覇気に満ち溢れた兄上が……)
 入ってきた兄を見て伊織は思う。声の感じからしてかなり疲労しているものと思われた。
「済まぬな、昨日は一睡もして居らぬので、少々疲れておる」
 どっかりとあぐらをかきながら兄は言う。人目の無い所では結構怠惰な男なのだ。
「そのようですね……早速この騒ぎの理由をお聞かせいただきたい。この殺気、ただごとではありませんね」
「うむ。実はな……」
 兄は大奥での一件を包み隠さず話して聞かせ、伊織の協力を仰いだ。
「わたしに大奥に入れとおっしゃる? 上様がわたしを見初めたらいかがいたします? 兄上は晴れて大名の仲間入りですか?」
 少し悪戯っぽい口調で告げた。
「冗談を言うでない! おまえは大奥警護の孔雀衆の一員として配属される。無論、上役の命令に従う義務は無い。おまえは自分の判断であやかしの捜索に当たるのだ」
「しかし……その……私には」
 ちょっと恥ずかしそうにしている伊織を苦笑混じりに見ながら。
「おまえの身体の事は老中様にもお話して許可を得ておる。ただし、大奥の女性達に手を出すことはまかりならんぞ!」
 兄らしい口調で彼は告げた。
「判っています。……孔雀衆になら良いので?」
 伊織は少々悪戯っぽい口調で尋ねてみた。
「まあ、仕方あるまいな……しかし、伊織、色欲に狂って任務をないがしろにすることは許さぬ!」
 兄の強い口調と視線に伊織はまだ、心の奥底では兄嫁と間違いを犯した自分を許していないのだという事を確信していた。
「それに付いてはご心配無く。遊郭に住んでいてこう言うのもなんですが、淫術、色道の類に抗する修行は積んでおります。以前のわたしとは違います。……それに、並大抵の術ではわたしを虜には出来ませぬよ」
 そう言ってにやりと不敵に笑って見せた。
「おまえが山ごもりで学んだ武神流とやらか?聞いた事の無い流派だが……」
「しかし、恐らくはいかなる流派をも凌ぐ実戦技巧の体系であります。私はその表門中伝までしか学びませんでしたが……」
 伊織は静かな口調で告げた。その目には嘘やはったりではない自信に満ちた光が宿っている。
「皆伝ならず……それでも最強と申すか? 勇ましき事よ。まあ、その事の真偽はどうでも良い。件のあやかしを一刻も早く仕留めて見せい!」
「褒美は上総月家への帰参と?」
「褒美は望みのままに取らせると老中様も申しておられる」
 兄のその言葉に、伊織の瞳の奥がきらりと光る。
 それからしばらくお互いの近況などを伝え合い、彼女は老中に引き合わされた。
「ほお、これは美形じゃの。いや、済まぬ……事の次第は聞いて居るな?」
 まったくえらぶらず、気さくな様子で老中は話を切り出した。
「はっ! 城内に潜むあやかしめを討ち果たし、その協力者を全て見つけ出して成敗すればよろしいのですね?」
「左様。男子禁制の大奥ゆえ、おぬしに頼むのだ。どうかよろしく頼む」
 老中はそう言って深々と一礼する。なかなかの人物であった。
「承知いたしました。全力を尽くしましょう」
 伊織もそう言って一礼する。
 城内から大奥へ、歩いて五分あまり。頑丈なつくりの門の前で兄と別れた。
 そこから先は女だけの世界である。
 門の向こうでは男装の少女が待っていた。年の頃は伊織とほぼ同じだろう。優しげな顔立ちの中で、強い光を放つとび色の瞳が印象的だった。
 背丈は伊織よりやや低い程度で、その身長で扱うにはやや長過ぎるように見える刃渡り二尺八寸あまりの刀を帯びている。柄も常寸よりも三寸ばかり長い。
「わたくしは孔雀衆筆頭、香苗と申します。以後、よしなに」
「伊織です。こちらこそよろしくお願いいたします」
 何気ない挨拶を交わしながらも互いの物腰から力量を測り合う。
(さすがは大奥警護の筆頭……腰のものから見て居合使いか……)
 彼女の腰の刀から類推して伊織がそう思えば。
(まったく隙が無い、……底が見えぬ……強い!)
 香苗も伊織の底知れぬ実力を悟っていた。
「……では、参りましょうか。最初はお局様に会っていただきます」
 香苗はそう言いながら先に立って歩き出す。
「お局様?」
 香苗に付いて行きながら、伊織は尋ねていた。
「ええ。将軍様の乳母をなさっておられたお方で、大奥の一切を取り仕切っておられます」
「成る程……噂の御仁ですな」
 城下の人々にまで知れ渡っている「乳母将軍」のことを思い出しつつ伊織はつぶやく。
 大奥は、無数の個室の連なりからなっていた。それぞれの個室は半ば独立した形になっており、女達はここで何不自由無い生活を送りながら、将軍の子を宿すべく閨の技を磨く。手や口を使って精を迸らせるのは禁じられており、必ず膣内で精を受けるように命じられていた。
 現在、ここには百五十人ほどの女達が居り、その護衛や身の回りの世話の為に、三百人以上の女性が働いていた。まさに女の城である。
 空気にもかすかに甘酸っぱい女の匂いが混じっているような気さえした。
「お局様は上様に先立って、女衆の具合を見るのです。齢五十を超えようかというのに、その見かけは三十台半ばで十分通用する美しいお方ですよ」
「具合を見るとは、つまり……」
 やや不快そうな表情を浮かべて伊織は問う。
「ええ、お察しのとおり、愛撫に対する反応や、癖、果てる時の様子などを自ら確かめられるのです。妙な癖を持っていたり、果てる時に粗相をしてしまうような女性を上様に抱かせる訳にはいかぬということなのでしょう」
「ふむ……建前はそういうことなのだろうな」
 長い石段を上がりながら伊織は頷く。女性同士の性行為をふしだらだとは思わなかった。彼女自身、男性よりも女性の方に強く惹かれるのだから……。
 恐らく局は房中術の技巧に長けているのだろう。若い女性の精気を吸い取って自らの美貌を保っているのだろう。
「さあ、着きました。ここがお局様の住まうお屋敷に御座います」
 そこは大名の下屋敷並みの豪華な造りの屋敷だった。ここに数人の下女とともに大奥の支配者は暮らしているのである。
 二人は玄関脇で刀を預け、局の待つ奥座敷へと向かう。ちり一つ無い清潔な屋敷内にはほのかに甘い香の香りが漂っていた。
「香苗です。伊織殿を連れてまいりました」
 見事な墨絵の描かれたふすま越しに香苗は奥へと呼びかける。
「入りや」
 ふすまの向こうから高飛車な口調で女の声がかけられた。
「失礼いたします」
 香苗は伊織を伴って室内に入り、ふすまを閉める。
 そこは二十畳あまりの広い部屋になっており、その真中に述べられた夜具の上に、漆黒の髪を腰まで伸ばした妖艶な女性が薄物一枚の姿で正座していた。
 抜けるように色の白い肌の持ち主で、細身な身体つきとは不釣合いにたわわな乳房が薄物をふっくらと盛り上げている。
 ぽってりとした厚手の唇には常に薄い笑みのようなものを浮かべていた。それに対して切れ長の目には深い淵を思わせる冷たい光がたたえられている。
 その全身からは成熟した女性の色香が溢れ出していた。
(この方が……)
 お局様と呼ばれる女性から発する妖艶な気が、室内に満ちていた。薄い妖気など散らしてしまいそうな、濃厚な精気である。
(この方もある意味、化け物だな……)
 まったく老いを感じさせないばかりか、精気に満ち溢れてさえいる局の姿を見ながら伊織はそう思う。
「ほぉ。これはなかなかの美形じゃの。伊織殿、この大奥のしきたりは香苗から聞きましたか?」
 背筋をピンと伸ばして座した伊織にぬめった視線を送りながら局は問い掛けた。
「はい。……おおよその所は」
 彼女の返事を聞いた局の口元が、好色そうな笑みの形にキュウゥッとつり上がる。
「では……脱ぎなさい」
 いきなりの言葉に、伊織の眉がぴくり、と動く。
「は? お局様、伊織殿はあやかしを成敗するために……」
 香苗が慌てて口を挟んだが。
「黙りや!」
 小さく一喝して香苗を沈黙させると、局は伊織に目配せする。その目には拒否を許さぬ冷たくぬらりとした光が宿っていた。
「……」
 黙って立ち上がった伊織は帯を解き始めた。
(拒んでこの方の機嫌を損ねる訳には行かないな……もとより無垢な身体でもなし……)
 開き直った表情で彼女は着衣を脱いでいく。
「香苗、おまえも久々に可愛がってやろう。脱げ」
 有無を言わせぬ口調に、香苗も立ち上がり、脱ぎ始める。次第に肌をさらしていく二人の少女剣士の姿を楽しげに局が見つめていた。
 やがて若々しい二人の引き締まった裸身が、局の目の前にさらされた。
 香苗の裸身もなかなか見事なものだった。細身のように見えて、強靭なばねを秘めた筋肉がまろやかな身体の線の中に隠れている。乳房は小ぶりで、ツンと尖った乳首と小さな乳輪が可愛らしい。
「ほお……聞いては居ったが、まさしくふたなりよな……」
 下帯も取り去って全裸になり、少し恥ずかしげに立つ伊織の股間を見た局は、その瞳にねっとりとした光を宿しながら言った。
「さ、こちらへ……二人同時に羽化登仙の境地にいざなってやろう」
 極上の獲物を前にして舌なめずりせんばかりに告げる局の声に、二人は何かに操られているかのように歩き出す。
 二人は局を左右から挟む形で夜具の上に座った。向かって右に香苗、左に伊織が着く。「ほほっ。二人とも若々しくて美しいのぉ……まずは、香苗、おぬしが伊織殿と交われ。これから協力し合ってあやかしを追わねばならぬのだ。肌を合わせてお互いの気心を知っておくのもよろしかろう。ほほほっ」
 目の前で繰り広げられるであろう淫らな交わりの予感に頬を赤らめ、瞳を潤ませて妖艶な熟女は命じる。
「……」
 香苗は複雑な表情を浮かべて伊織を見た。伊織は黙って頷いてやる。
「伊織殿……済まぬな」
 香苗はそう言って伊織の胸に手を伸ばし、程好い大きさのまろやかなふくらみに触れた。素晴らしい弾力の乳房に香苗の指先が柔らかく沈み込む。
「んっ……いいえ、お粗末さまですが……」
 そう言って伊織は優しく香苗を抱き寄せた。
 一瞬、見つめ合い。唇をすり合わせるようにして口付ける。しっとりと柔らかな唇同士が触れ合い、甘い吐息が互いの顔をくすぐった。
(……この気……淫術とは違うが、女を淫らにする香か何かが焚き込められているのか?)
 香苗と唇をついばみ合いながら伊織は思う。たとえ命令とはいえ、これほどまでにたやすく人前で全裸になって絡み合うなど、普通の精神状態では抵抗が大きすぎて出来ないはずだった。
(この胸の高鳴り、下腹の甘やかな疼き……媚薬の一種か?)
 いぶかしみながらも、伊織は香苗との淫靡に絡み合ってゆく。
 んふっ……ちゅっ……ちゅっ、くちゅ……
 舌を絡め合い、吸い合いながら伊織は香苗に押し倒されていた。
 股間に挟み込まれた香苗の太股が伊織の秘裂から半ば勃起し始めていた男根を擦り上げる様に動いている。
 伊織の右手は香苗の背筋を滑り降り、まろやかな曲線を描くほんのりと冷たい尻を撫で回していた。やがて尻肉を円を描くようにこね回し、指の動きを次第に大きくしていく。
「んっ……伊織殿……そんなに……あぁ……」
 尻肉をこねる動きで間接的に秘裂を刺激された香苗は、口づけを振りほどいて伊織の首にすがりつき、甘く鳴くような声を漏らして下腹を太股に擦り付ける。
 滑らかに引き締まった互いの腿に恥骨を押し付け合い、体奥から湧き出してきた熱いぬるみが肌を濡らすのを感じながら、二人はぴったりと密着させた裸身をクネクネとうねらせて互いの身体の感触に酔いしれる。
「んきゅうぅぅっ!」
 尻の側から股間に滑り込んできた伊織の指に膣口を甘く抉られ、香苗は子犬の鳴くような声を上げて身震いしながら彼女の身体にすがりついた。
 下になりながらも、責めているのは伊織の方であった。小さな蕾のように引き締まった女肉の入り口を、巧みな指が優しくくじる度に香苗の身体はフルフルと震える。
「ほお、伊織とやら、同性同士の交わりにも長けておるようじゃな」
 感心したような局の声が聞こえたが、伊織は応えずに香苗に快感を送り込み、再び唇を奪った。彼女の指が与えてくる快楽の虜となった香苗はすすり泣くような声を漏らして口腔内に滑り込んできた舌を吸い、かぐわしい唾液を喉を鳴らして飲み込んだ。
 硬く尖った乳首同士を擦り合わせて快感を得ながら、二人の少女剣士は興奮で赤味を帯びた裸身を絡め合わせ、しだいに濃厚な愛撫へと移行していく。
「んはぁぁ……伊織殿、今度は私に……」
 与えられた快感に報いるべく、香苗も本格的な愛撫を開始する。
 伊織の唇との間に銀線のような唾液の糸を引きながら離れた香苗の唇は、首筋から胸元を軽くついばみながら滑り降り、しこり立った乳首を含んでいた。
「んっ!」
 乳首を優しく吸われ、甘噛みされた伊織の眉が切なげに寄る。
 香苗は局に見せ付けるかのようにねっとりと舌を使って伊織の乳首を舐め回す。唾液に濡れて屹立した桜色の乳首を指先で摘んで転がし、再び口に含んでしゃぶり回す。左右交互にその愛撫を行いながら、屹立した伊織の勃起に下腹をグリグリと押し付けてこね回している。
 下腹に当たる熱く硬いこわばりの感触が香苗の興奮をさらに煽り、彼女の腰の動きは次第に激しいものになっていく。
 恥骨からふっくらと盛り上がった柔らかな秘裂にかけてを大きな腰使いで勃起の胴に擦り付け、狂おしいまでの淫欲にすすり泣きながら官能を高めてゆく。
「ふふっ、そろそろ混ぜてもらおうかの」
 自らも積極的に腰を突き上げ、香苗の柔らかな秘裂の感触に酔いしれ、喘いでいた伊織の視界に局の妖艶な顔が入ってきた。
「んむっ!」
 いきなり局の口づけを受けた伊織は小さくうめいていた。濃厚な花を思わせる香りとともにねっとりと熱い舌が口腔内に侵入し、熟練した舌使いで存分にかき回し始めた。
(やはり……媚薬を常用しているのか……)
 局の唾液にはうっすらと媚薬の味が残っていた。女を色情狂に変えるほどは強くないが、淫らな気持ちを長びかせ、絶頂の余韻を信じられないほど持続させる、習慣性の高い媚薬だった。
(成る程、いつでも上様のご寵愛を受けられるように、普段からこの媚薬を女達の食事に混ぜているのだな……)
 局と舌を絡み合わせながら、伊織は甘く蕩け始めた思考の片隅でそう思う。
(媚薬に対する免疫が出来るまで、後半時ぐらいか……その間は楽しませてもらおう) 伊織は苛烈な修行と仙薬の服用によって、大抵の媚薬、毒薬に対する抗体をごく短時間のうちに体内で作り出す事が出来た。余程強力な媚薬で無い限り、心が墜ちる前に耐性を身に付けられるのである。
 乳首を吸い嬲り、時折甘噛みして刺激し続けていた香苗の舌は、伊織の腹部に唾液の跡を残しながら這い降りていった。形の良い縦長のへその窪みを数回掘り返し、はちきれんばかりにそそり勃ったこわばりを避けるように下降して、既に潤んでいた秘裂に吸い付く。
 膣道を満たしていた熱い淫蜜が吸い取られていく感触に伊織は腰が抜けそうな快感に襲われていた。
「んあぁぁ!」
 腰をクイッ! と突き上げるようにして伊織はのけぞり、局の唇を振りほどいて遠慮のない嬌声を上げる。
 香苗は伊織の腿を抱え込むようにして支え、秘裂から後ろの蕾にまで舌を這わせた。れろっ、れろっと舌が動き、敏感な部分を舐めしゃぶるたびに、伊織の身体はのけぞったまま痙攣する。
「ようやく身体の固さが取れてきたようじゃの。素直に快楽に溺れるが良い。さて、初めて味わうふたなりの精汁……どのような味かの」
 伊織の唾液を存分に味わった局は、香苗に吸い嬲られている秘裂の上端、本来なら雛先がある部分から屹立して脈動しているこわばりの先端を紅く濡れ光る唇で含んでいた。すぐさまねっとりと舌が絡み付いて亀頭をぬめらせる濃い先走りを舐め取り、亀頭を集中して責め始める。
「あぁぁ! ……あっ、あっ、あっ……ふあぁぁぁ!」
 局と香苗の舌で、両方の性器を舐めしゃぶられて伊織は全身をビクビクと反応させてよがり悶えていた。腰が浮き上がり、かかとと後頭部だけで反り返った裸身を支えているような形になる。
 局は亀頭を舐め回しながら伊織の全身に指を這わせ、ぴんと張り詰めた若々しい肌を存分に愛撫し、鍛え抜かれた筋肉の感触を楽しむ。
「んふっ……ちゅうっ……ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ……ふたなりの先走りとはほんに美味なものよのぉ。香苗、伊織殿の秘め所に指を挿れておやり」
 香苗に淫らな命令を下し、局は再び伊織の亀頭を吸い嬲り始めた。時折大きく口を開けて、亀頭から鈴口をねっとりと舌先が這う所を香苗にも見せ付けてやる。
 食い入るようにその様を見つめながら、香苗は細い指を伊織の膣口と後ろの蕾にあてがった。口元に淫欲に蕩けた笑みを浮かべると、一気に根元まで挿入する。
「くぁぁぁぁぁ!」
 二つの穴を同時に指に貫かれた伊織の身体が激しく痙攣する。
 二つの熱い肉孔の締め付けを堪能しながら、香苗は指を交互に出し入れし始めた。じきにクチュクチュという淫らな音がし始める。
 泣き喘ぐ伊織の口元に濡れそぼった局の秘裂が押し付けられた。
「伊織殿、わらわの秘め所も吸っておくれ、その甘い舌で雛先も舐めしゃぶっておくれ」
 顔面騎乗位の姿勢で少女剣士の顔にまたがり、局は淫らの極致ともいえる甘い声で命ずる。むっちりと脂の乗った白い腿が頬を挟み込み、ふっくらと熟れて花開いた紅色の秘裂が濃密な花の香りを放ちながら唇に押し当てられた。
「んぁぁ……ちゅっ、ちゅぱっ……」
 伊織はそれに舌を這わせ、左右にそよぐ肉の花弁を唇でついばみ始める。
「ふおぉぉ! なんと良く動く舌よ……そうじゃ、そこをもっと、……おおおっ! いいぞえ……ほっ、褒美をやろう」
 伊織の奉仕に満足した局は上体を倒し、再び勃起を先端を赤い唇に吸い込んだ。舌先がクネクネと蠢きながら鈴口をえぐるようにして挿入され、思う存分こね回す。
「んふぅぅぅ!」
 伊織は局の雛先を吸い立てながら右手の指を膣口とすぼまりにあてがい、一気に挿入していた。こなれきった胎内の肉ひだが指をねっとりと締め付け、尻穴がキュッとすぼまって指を締め付ける。同時にしこり立った雛先を軽く噛んで引っ張ってやった。
「おあぁぁぁぁっ!」
 その刺激で局が先に果てていた。のけぞった局が口を離すと同時に伊織のこわばりも白い粘液を弾けさせる。最初の迸りがのけぞった局の顔から胸を汚し、二度めは必死にむしゃぶりついた美熟女の口腔内で弾けていた。
 射精中の勃起と、絶頂にわななく秘裂を熟女と少女剣士に同時に吸われる快感に、伊織は半ば意識を飛ばされて絶頂の大波に身を委ねている。
 数分間にわたって彼女の絶頂は続き、やがて全身の関節が抜けたようにぐったりと脱力して褥の上に横たわった。

「はぁ……はぁ……見事な手並みであったぞ、伊織殿。わらわが先に果てさせられるとは……それにおぬしの精のなんと美味なこと、まさに甘露の如し」
 数十回にわたって迸った大量の精液のほとんどを飲み干し、伊織の上にもたれかかって、局は満足げに息を吐く。
 その顔に飛び散った白い迸りを香苗が舐め清めていた。すっかり淫欲の虜になり、初めて味わう両性具有者の甘い精液を、うっとりと目を細めて味わっている。
「はぁ……はぁ……お粗末で、御座いました……」
 伊織はまだ弛緩した身体を横たえたまま呼吸を整えながら言う。絶頂直後で紅潮した頬と、歓喜の涙に泣き濡れた双眸がたまらなく色っぽい。男女の性別を越えた神秘的な美しさであった。
「伊織殿……その……私はまだ……」
 ただ一人果てていない香苗は切なげに身をくねらせてうったえた。
「おお、そうであったの。香苗、伊織殿に女にしてもらえ」
 局の言葉に素直に頷き、香苗は伊織の上にまたがって来た。

 つづく

大奥妖斬剣02                   大奥妖斬剣04
               


動画 アダルト動画 ライブチャット